令和4年  正月

          花井山 大洞院 三十一世住職 櫻井大文
 昨年は、コロナ禍で中止する行事もありました。その状況下の10月15日、大本山總持寺の御両尊御征忌会において御両尊献湯諷経の焼香師を勤められたことは光栄・幸運と皆様に感謝申し上げます。僧侶として本山の須弥壇に登れる機会は瑞世法要(住職になるための修行)のみで、それ以外では焼香師を拝命しないと出来ません。遠い記憶にある瑞世法要で拝した荘厳な光景を今一度眼前にして、手足が震えるほど感動しながら歴代祖師の前にて両祖様と檀家各位の諸縁吉祥を願い、大法要を無事円成させていただきました。
 祖師の有名な説話の中に「両箇の月」があります。瑩山禅師が峨山禅師に問いを掛け、その答えを求めて二ヶ月経過した月夜に、峨山様が坐禅をしていると瑩山禅師が声を掛け、その時に峨山様は悟りを得て總持寺の二世になられたお話しです。月の光は仏法を表し、その光が当たっている峨山様も仏と変わらぬ尊いものでした。
 私達にもその時と同じ月の光が当たっています。私達も御釈迦様の教えに導かれ幸せになれるのです。そのためには日ごろから幸徳を積むことが必要です。どんな小さくても良い行いを成し、御先祖様を大切にしながら仏法を成就していきましょう。
 私も平成18年に大洞院住職を拝命してから15年経ちました。この先の大洞院の発展を考えた時、建設後約40年の寺務所を檀家の皆様の集える会館に建替える計画を、皆様の意見を伺いながら始めたいと思います。本年もよろしくお願い申し上げます。
                       大洞院31世 大慈大文 九拝