令和2年 元旦
新年を迎えるにあたって
    花井山 大洞院
          三十一世住職 櫻井大文
 あけましておめでとうございます。
 昨年10月の台風では多くの方が被害を受け、今も苦しい日々を送っています。大洞院は被災地支援のチャリティーコンサート、柏駅前での托鉢などを行い、被災者が少しでも苦悩から離脱できるようにと支援活動をしています。被災地ではブルーシートで応急処置をした建物が多く見られます。
 早く普段の生活に戻れることをお祈り申し上げます。

 身心(しんじん)に法いまだ参飽(さんぽう)せざるには、法すでに足れりと覚ゆ、法もし身心に充足すれば、ひとかたは足らずと覚ゆるなり。        (正法眼蔵現成公案より)

 「仏道修行者の体と心に仏法が行き渡らない間は、法はもうこれで十分だと錯覚してしまう。仏法が身心に満ち足りると、足りない部分を自然と自覚する」と書いてあります。
 「善行を積み重ねても一向に幸せにならない。辛いことばかりで、お釈迦様に助けてもらいたい」と誰しも思い願うものです。今、生かされている事こそが幸せなのです。苦行は幸せになるための布石という仏法の教えを理解いただけば、幸せ願望が既に叶っていることが自覚できます。しかし、それだけでは、自分の見える範囲だけを感じて理解したと慢心すると間違いを犯します。常に広い視点に立って見て感じるのが仏道修行なのです。
 さて、大洞院は、檀家の皆様の菩提寺として、先祖供養に努めています。令和元年は、葬儀依頼が増加傾向にありました。その中で、一日葬をお願いしたいという要望が散見されました。本来ならば、亡くなって直ぐに枕もとで読む「枕経」、さらに「通夜経・説教」「本葬・授戒・炉前経」と続きます。葬儀の簡略化は安易に認められません。一日葬を求めた喪主に理由をお聞きすると「本当は、しっかり供養したいのですが・・・」と涙ぐみ、事情を話されます。事前に相談いただければ、大洞院として、また住職としてできる限りの支援をさせていただきます。気兼ねなく、大洞院寺務所にご相談ください。
 檀家の皆様には、いま目の前にある知見だけにとらわれることなく、菩提寺・大洞院と気心を通じることで、新たな視点を取り入れて、家族と親族を含めた一族共々、新しい年を迎え過ごされることを願っています。
大洞院は、私たちのお寺、地域に開かれたお寺として、皆様のために活動していきます。今年もご支援をよろしくお願い致します。

                                          九拝